“諦め”と“安定”のトレード

~40代社員が直面するクライシス~

~40代社員が直面するクライシス~

■早い企業では30代後半、多くの企業では40代になると、

自身のその会社における“未来”がくっきりと見えてきます。

それまでは、ピントが合わないカメラを覗いているように朧げだった未来像。

朧げであるがゆえに、希望も持てていました。

昇進・昇格、昇給。

その可能性が潰えていく現実に向き合うのはツライことです。

しかも、その現実は、静止画ではなく“身近な先輩”という、動画として、よりリアルに迫ってきます。

■「オレも先輩みたいになっていくのか……」

そんな時に周囲を見回すと、あまり楽しそうに働いていない先輩社員が気になり出します。

・極力、自分と関係のない仕事には手を出さない。

・新しいチャレンジは、まずしない。

・年下上司を助けようとはしない、カゲで悪口を言う。

・後輩には積極的に関わらない、自分の仕事ではないと思っている。

・たまの飲み会では、「オレがキミの年齢だった頃はな…」から始まる“武勇伝”を延々と聞かされる。

「オレもこの会社であと10年したら、この先輩みたいになるのか、イヤだな……」

と心がざわつき始めます。

■で、どうなるか?

残念ながら多くの方は、その“心のざわつき”を放っといたまま、過ごします。

なぜなら、業務がたくさんあるから。

考えなくても日々は過ぎていくからです。

■そもそも、管理職になるのは、組織の一部の人。

企業規模が大きくなればなるほど、その比率は低くなります。

ごく一部の人、です。

それに、実力や人望がある人イコール管理職ではない、パターンも多い。

それに、管理職を目指す人自体も減っています。「別になりたくない」という人も多いのです。

だから、会社人生の後半をどのように充実させるかは、個人にとっても会社にとっても益々重要なテーマになっています。

■40代は、その後のキャリアに重大な影響を及ぼす大事な時期。

ある会社で40歳社員向けのキャリアデザインの研修をしています。

シンプルに言うと「今までを振り返り、これからを考える」研修です。

そこでは、多くの社員が、今の業務で“やりがいや成長”を感じていて、なおかつ“将来への希望・目標”を口にします。

グループワークにも積極的に参加し、同期の仲間の声に、興味津々に耳を傾けています。

端的に言うと、“まだ元気”です。

その会社では50歳社員も同様の研修があるので、一日オブザーブをさせていただいた経験があります。

そこでは、40歳社員と打って変わった光景が繰り広げられていました。

端的に言うと、“目が死んでいる”

◇不満が多い。

(グチが多い)中には、「○○さんのせいで、今の部署に配属されてしまった。オレの梯子を外した○○さんを許さない」といったかなり生々しいものもあります。

また、「足腰が弱り、老眼も酷くなってきた、昔のように働くのはムリ」という体力の衰え系も多く聞かれます。

◇“希望”がない。

多くの受講者が将来に悲観的、シニカルになっていました。

人事部のスタッフが後ろでオブザーブしているのにも関わらず、「オレは仕事はテキトーにやって、趣味に生きるよ!」と声高らかに宣言している人もいました。

■この10年で何が起きたのか?

もちろん、全員ではありませんが、50歳になると“まだ元気”な人比率が極端に減っているのに、衝撃を受けました。

この10年で何が起きたのでしょうか?

■“諦め”と“安定”のトレード

ハッとさせられる言葉です。

「定年まで給料をもらい続ける」という“安定”を得るために「今の仕事へのやりがいや将来の希望」を“諦め”るという取引です。

意識的にその取引を行う人は少ないかもしれませんが、多くの人が、無意識に、粛々とその取引を行っている……そう感じます。

でもこの取引には重大な“落とし穴”が2つあります。

◇代償が高すぎる

再雇用も考え、65歳まで働くとすると、40歳の人は25年、50歳でもまだ15年は働くわけです。

その長い期間、やりがいや希望を諦めるというのは、あまりに高い代償です。

◇得られるものが不確か

その取引によって得られるはずの“安定”が、益々不確かになってきています。

何の準備もないのに、もし、50歳で職を失うことになったら……ちょっとゾッとしますよね。

つまり、賢明な取引とは言い難いわけです。

■いずれにしても40代の過ごし方というのは、

その後のキャリアにとてつもなく大きな影響を与えるということは、確かだと思います。

金銭的報酬”を受け取るという外発的な動機のみで過ごすか、それとも自身の内面から湧き出る内発的な動機を見出すか。

人によって価値観は違うと思いますが、後者のほうが、楽しいのは確かでしょう。

そして、後者のほうが、まだまだ続く職業人生の充実に繋がるのは確かでしょう。

■働く意義を見出す5つの視点

キャリア・クエスト(自分らしい働き方の探求)における5つの視点を記しておきます。

①仕事を再定義する。

(自分の仕事は自分にとって、社会にとってどんな意義があるのかを捉え直す)

②Being(かくありたい)から派生する目標設定をする。

(どうありたいか→そのために何をするのか→何を手に入れるのか)

③培ってきた専門性を高める。

(企業内プロフェッショナルとしての存在感を得る)

④“強み”を活かす新しいスキルを身につける。

(例えば、後輩指導スキルなど)

⑤どんな“小さなこと”でもいいので、“行動”を起こす。

(小さな行動が、次の行動のための情報収集になる)

(後記)

私の父は、80歳を過ぎた今でもシンガポールにある外資系企業で“現役”で働き続けています。

培ってきた専門性と人間性の磨き上げを怠っていないからできることでしょう。

正直、「かなわないなぁ……」と思います。

私はもうすぐ50歳、人生100年と考えると、まだ折り返し地点にも着いてないのかもしれませんね。

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