ロマンはどこだ?
~“わくわくするか”で決めてみないか?~
■“考える”と“悩む”
同じ脳をつかう作業ですが、意味はだいぶ違うようです。
試しに辞書を見てみると、
◇考える:知識や経験などに基づいて、筋道を立てて頭を働かせる。
◇悩む:決めかねたり解決の方法が見いだせなかったりして、心を痛める。思いわずらう。
私は、“考える”は“作法”があるけど、“悩む”にはそれがない。
そう解釈しています。
■例えば、ロジカルシンキング研修
私も良く行っていますが、これは、“考える作法”を学ぶ研修です。
ロジカルシンキングには作法があります。
例えば、我々が問題に直面したときは、「困ったなぁ……」で立ち止まるのではなく、次のようなステップを踏むと、解決策に辿り着くことができます。
①問題の特定(WHAT)⇒②原因の分析(WHY)⇒③解決策の立案(HOW)
つまり、①何が問題なのか、②なぜそれが起きたのか、③どのように解決するか、を順序立てて考えていくわけです。
職場における多くの問題はこの作法に則って考え、実行することで解決するわけです。
■“悩む”のは作法がない。
一方、悩むというのは、“正しい悩み方”のような作法がないので、厄介です。
悶々と、それこそ夜も眠れないくらい、思いわずらうことがあります。
アドラーは「人間の悩みはすべて、対人関係の悩みである」と喝破しましたが、「そのとおりだなぁ」と思います。
これをしたら、失敗してしまうのではないかという不安。
バカにされたり、嫌われたりしてしまうのではないかという恐れ。
根っこにあるのは、承認欲求であったり、他人との比較であったり、「対人関係」に帰着する悩みなのだと思います。
■悩みには、感情が大きく左右します。
頭で考えることで“判断”し、解決策が抽出できても、その策を実行するか否か、つまり“決断”できるか否かには、感情が大きく左右します。
我々は、「頭で考え、心で決めている」わけです。
だから、ここでどうしても悩みが生じる。
やった方がいいと、頭が判断していても、心がストップをかける。
「対人関係」が気になりだす。
そして、決められない、動き出せない、という悪循環に嵌ってしまう。
■ロマンはどこだ
この言葉は、伊坂幸太郎の小説に出てくる、ある登場人物の口ぐせです。
“爽快”な気持ちになる言葉で気に入っています。
今では、「悩みにケリをつける」私の作法の一つになっています。
それを行うべきか、どの選択肢を選ぶべきか、迷ったときに自分に問いかけるのです。
「ロマンはどこだ?」と。
実行したときに、わくわくするだろうか?楽しそうなのはどっちだ?と問いかけるのです。
その答えが、自分の答えです。
■決めたら、ロジックを組む。
決めたことを実現するには、ロジックを組んで周囲に納得してもらう必要があります。
なぜなら、「このやり方のほうがわくわくしませんか?」で動いてくれる人は少ない(というかほとんどいない)からです。
ここでまた“考える作法”を使うわけです。
つまり、「頭で考え、心で決めて、頭で組み立てる。そして、頭と心で伝える」そういう流れになるのだと思います。
■今のあなたにとって……一番金ピカなことは何?
漫画『宇宙兄弟』に出てくる言葉です。
宇宙飛行士になる夢を諦めるか否か、悩んでいた主人公のムッタにシャロン博士が投げかけた言葉です。
この言葉も「ロマンはどこだ?」同様、悩みに終止符を打つステキな言葉だと思います。
(後記①)
ロジカルシンキングは、我々が協働していくうえでの必須のスキル、特にこれからはその重要性が増していくスキルだと考えています。
様々な価値観を持ったメンバーが集まる組織のローコンテクスト化はさらに進んでいくでしょう。
そのときの“共通言語”となるのが、ロジック(論理)だからです。
ただ、コミュニケーションにおいては、その重要性が増すのは間違いないと思いますが、“問題解決”においては、その限界も理解しておく必要があると思います。
皆が同じように考え、同じ解決策に帰結すると、“差別化”が計れないというジレンマが生じるからです。
“改善”には効果的だが、“イノベーション”は起こせない、わけです。
(後記②)
組織においては、「心で決める」要素は少なくなるでしょう。
いちいち担当者や決裁者の感情を加味していたら、決められなくなりますし、業務が滞ってしまいます。
関係者への説明もロジックが通っていないと、説得力がありません。
だから、企業規模が大きくなればなるほど、「頭で考え、頭で決める」傾向が強くなります。
そうやって“心の出番”が少なくなることで、企業のロマンも消失していく、これもジレンマですね。