“自立”と“自律”
~意味はだいぶ違う~
■ジリツ……読みは同じでも、意味はだいぶ違う。
自立と自律ってどう違うのか、ちゃんと考えたことがあるでしょうか。
もしかしたら、意味が曖昧なまま使われている言葉の代表例かもしれませんね。
ちなみにgoo国語辞書では、こう書いてありました。
◇自立:他への従属から離れて独り立ちすること。他からの支配や助力を受けずに、存在すること。
◇自律:他からの支配・制約などを受けずに、自分自身で立てた規範に従って行動すること。
そうなのね……という感じ、どうもピンときません。
■ハイハイをしていた赤ん坊がやがて2本の脚で立ち上がるーそれが〈自立〉。
そして立った後は、みずからの意志で方向づけして進んでいくーそれが〈自律〉。
『働き方の哲学(村山昇/ディスカヴァー・トゥエンティワン)』という本の中で、このように書かれていました。
著者の村山さんの説明は、的確で、とても納得感がありますので、以下にも引用させていただきます。
◇自立:みずからを「立たせる」こと
●そのために
①知識や技能をつける=技能的自立
(一人前に仕事がこなせる)
②経済力をつける=経済的自立
(自分の稼ぎで食っていける)
③体力をつける=身体的自立
(健康である)
●反意語⇔依存
●航海のメタファー⇒船をつくる
◇自律:みずからを「方向づける」こと
●そのために
「律(規範やルール)」となる理念・信条・価値観を醸成し、それをもとにぶれない判断・行動をする
(接する情報や直面する状況・問題に対して、「これは正しい(正しくない)」「この状況ではこうすべきだ」「ここはこっちの選択だ」等といった判断・行動ができる)
●反意語⇔他律
●航海のメタファー⇒羅針盤を持つ
◇自立が、能力・経済力・身体といった“外的な”要素の独り立ちを表すのに対し、自律は、価値観・信条・理念・哲学といった“内的な”要素の独り立ちを表します。
■まず、自立する。
学生から社会人になったとき、まず、目指すのが自立です。
経済的自立が三角形の頂点になり、その底辺を技能的自立、身体的自立が支えるという構造になると思います。
◇会社に貢献できていないのに、「こうした方がいいと思います」とか「それは、間違っていると思います」等と言っても、誰も聞く耳を持ってくれないでしょう。
“実績”を出さないことには、周囲は認めてくれません。
そのためには、求められることを把握して、できることを増やすために知識を増やし、スキルを身につけなくてはなりません。
営業でも、経理でも、開発でも、生産でも、どの現場においても同じです。
一人前に仕事がこなせるようになって(技能的自立)はじめて、経済的な自立が果たせるわけです。
そして、そのためには、自身の健康にも留意し、身体的自立も果たさなければなりません。
それができてはじめて、「自立している」と言えるわけです。
(ただ、この自立は、あくまでも“その会社”という手段があっての話になります。)
■そして、自律を目指す。
私たちは、必ず何らかのカタチで他者とつながりがあり、その関係性の中で生きています。
「オレは自分が正しいと思ったことをやる!」と言っていても、それが他者への貢献につながることでなければ、ただのワガママ。
協力してくれる人は表れないでしょう。
であるが故に、他者とのつながりを無視した“律”だけを育んでも、仕方がありません。
他者の価値観を受容しつつ、自身の“律”を構築する必要があるわけです。
そのためには、多くの人と接したり、ときに失敗したり、本を読んだりといった経験が必要です。
そして、その経験から得た学びを“言語化”することによって、理念・信念・価値観が醸成されるわけです。
何回も変更したり、修正したり、上書きしたりしながら、シックリくる軸ができていくのだと思います。
(後記)
「自立と自律の違い」を考えなくても、仕事はできますよね。
日常業務をこなすうえでは、特に困ることはないでしょう。
でも、自分のキャリアを自分で切り拓く=キャリア自創のためには、それぞれの概念を押さえておくべきです。
そのうえで、「私は自立(自律)しているのか?」「どうすれば自立(自律)できるのだろうか?」と問い、課題を設定し、取り組む。
その繰り返しが、私たちを成長させてくれるのだと思います。
“自立”と“自律”は、とても重要なテーマなので、また書きますね。