本当に“自立”していると言えるか?

~雇用され得る能力~

~雇用され得る能力~

■“自立”と“自律”

以前のブログで自立と自律の違いについて書きました。

わかりやすい例えとして

ハイハイをしていた赤ん坊がやがて2本の脚で立ち上がるーそれが〈自立〉。

そして立った後は、みずからの意志で方向づけして進んでいくーそれが〈自律〉。

と、『働き方の哲学(村山昇/ディスカヴァー・トゥエンティワン)』からの引用をさせていただきました。

今日は自立について深堀りをしたいと思います。

■本当に自立しているのか?

社会人になってからの経験が長ければ長いほど、「自分は自立できている」という思いは、当たり前のように持っているでしょう。

まして、家族を養っていたり、住宅ローンを払っていたり、税金をキチンと納めていたりしていれば、なおさらです。

「何をいまさら言ってるんだ。毎日会社に行って、ちゃんとお金を稼いで、生活しているじゃないか、これを自立と呼ばずになんと呼ぶんだ!」と思うかもしれません。

■他社でも通用するか?

ここで考えていただきたいのは、あなたの“経済的自立”を支えている“技能”は、他社に行っても通用するものなのか?

ということです。

A社の社内だけで通用する知識やスキルであったら、B社、C社では通用しない。

(当たり前ですが)

もし、何らかの理由(倒産、業績悪化、人員削減等)で会社を辞めざるを得なくなったとき、すんなりと転職先を見つけることができるでしょうか。

見つけられたとしても、今と同等以上のサラリーを得ることは可能でしょうか。

もし、答えが「Yes」なら、自立していると言えるかもしれません。

もし、「No」なら……危ない。

■苛酷な現実。

私は、43歳の時にある会社を辞めました。

貯蓄はほとんどなく、まだ幼い子どもが二人。

辞めた当時は、ハッキリと「これをやる!」という方向性は、まだ定まっていませんでした。

少しずつ焦りを感じながら、就職情報誌を見ると……、思うような仕事がないことに気づかされました。

ハローワークに行っても同じです。

できそうな仕事がなかったわけではありません。

でも、一家4人を養うには、給与が低すぎたり、年齢の割にハード過ぎることが予想される仕事がほとんど。

(例えば、完全歩合制の飛び込み営業で、前職同様の給与がもらえるようになるまで、どれぐらいの時間がかかるのだろう?)

それまで色々なことをやってきて、「それなりに頑張ってきた」と自負していましたが、現実は苛酷。

履歴書や職務経歴書に落とし込むために、なんとか“言語化”してみても、客観的には、ただの「浮気性で転職回数が多い落ち着かないオッサン」

目に見える明確な実績や、技能がないと、市場価値はありません。

「これは、やばいな」と焦りが増幅したのを覚えています。

※「転職はない(できない)」、だから、「自分でやるしかない」と、踏ん切りがついたので、結果としては良かったのですが……。

■エンプロイアビリティ

Employ(雇用する)とAbility(能力)を組み合わせた言葉で、「雇用され得る能力」と訳されます。

わかりやすいのは、やはり技能です。

どんな専門的な知識やスキルを備えているのかが、その人の市場価値を決めるわけです。

特に、年齢が高くなればなるほど、求められるのは“専門性”です。

私たちは、このエンプロイアビリティが高ければ高いほど、自立度が高いと言えます。

■その会社でしか通用しない知識やスキルでは、心許ない。

研修講師をしていると、あまりに多くの方が、「会社がずっと続く」という幻想の中にいることに驚かされます。

特に大手企業ほど、その傾向は強いでしょう。

だから、社内の人間関係や自身のボーナスの額に興味はあっても、自身の技能の磨き上げには、あまり関心がないようです。

■会社と個人は、対等な契約関係にあります。

「成果を創る」という貢献をするからこそ、それに見合う対価(給料)が得られるわけです。

(もちろん、対価は給与だけではありませんが、経済的自立という視点から今日はお話しています)

会社としては、「ウチでしか通用しない人」と「どこでも通用するがウチで働いてくれている人」では、どちらに働き続けてほしいと思うでしょうか。

また、個人としては、「ヨソでも働ける」という自信がなければ、会社と対等な関係を築くことはできません。

■まず自立する。

そのためには、知識・スキルを磨き上げるしかない。

「もし、会社がなくなっても、生きていけるだろうか?」と考え、足りないと思われる技能を身につける。

それしかない。

「赤ん坊が立ち上がる」って、実は、そんなに容易なことではないと思うのです。

(後記)

「今、会社を辞めたとしたら、いくら稼げる?」

本質的には、この質問に対する答えが「経済的自立度」を測るモノサシになると思います。

これは、非常に厳しい質問です。

会社を辞めたばかりの私は、「アルバイトの時給✕時間✕日数」を計算することでしか稼げる額がイメージできませんでした……。

(マクドナルドで働くとしたら、高校生の息子の方が、私よりはるかに市場価値が高いでしょう……。)

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