人には二つの動機がある。

~キャリア名人との対話③~

~キャリア名人との対話③~

皆さん、こんにちは。

今日は、キャリアに迷う人(迷人)とキャリアを極めた人(名人)の対話形式で話を進めていきたいと思います。

◇迷人

名人、今日は嬉しい報告があります。

◆名人

それは、良かったな。

それで、今日はこんな小料理屋に招待してくれたのか。ありがとう。

◇迷人

……名人が「美味い店がある」と、私を連れてきたんですけど……。

◆名人

そうだったかな。まぁ、とにかく話を聞こうじゃないか。

◇迷人

はい、前回、名人からいただいたアドバイスどおりに、上司に提案してみたんです。ちゃんとレポートを作って。そしたら、上司が「これならできそうだな、ウチのチームでやってみよう」って。

◆名人

おおっ、それは嬉しかっただろう。良かったじゃないか。

で、何の話だったかな?

◇迷人

会議時間削減の話ですよ。

◆名人

そうだった、そうだった。

で、どんなレポートを書いたんだ。

◇迷人

チームメンバーにヒアリングしたら、やはり同じ悩みを多くのメンバーが抱えていることがわかったんです。「みんな会議時間を短縮したい」って思ってるんですよ。レポートには、そのアンケートデータを書きました。

それから、上司がメリットと感じるであろうことも書きました。さりげなく、ですけどね。

会社全体で取り組んでいる“働き方改革”の流れを加速することになること、もしウチのチームが会議時間短縮の“成功例”になったら、社内で横展開する先駆けになって、チーム全体の評価が高まるでだろうと。

つまり、名人が教えてくれたチームにとってのメリットと上司のメリット、両方書いたんです。

そして、どの会議を減らすのか、時間制限はどうするのかというプランも書きました。

私が主催する会議から始めてみて、結果を報告します、とも。

教わったとおりにやったら、うまくいったんです!

◆名人

ほう……やるな。

外発的動機と内発的動機、どちらにも働きかけたわけだな。

◇迷人

……はじめて聞く言葉ですが。

◆名人

人には二つの動機があるということだよ。

一つ目は外発的動機、これは外側から与えられる動機だ。

例えば、給料、営業目標、人事評価、そういったものだ。外的な刺激がインセンティブ(誘因)となるものだ。会議の話でいうと、“働き方改革”だな。これは、上司も推進するように言われているはずだ。だから、「やらなくては叱られる」とか「評価を落としてしまう」という恐れはあるはず。

二つ目は内発的動機、これは内側から湧き出る動機だ。

例えば、成長したい、称賛を受けたい、承認されたい、自己有能感を感じたい、そんな思いが人を動かす。会議の話でいうと、“チーム全体の評価が高まる”ということだな。また、チームメンバーから“話のわかる上司だ”と思われるのも悪い気はしないだろう。

◇迷人

なるほど。

◆名人

もし、ヘビースモーカーに「そのまま吸っていたら肺ガンになるから、タバコをやめた方がいいよ」と忠告して、タールで真っ黒になった肺の写真を見せたら、どうすると思う。

◇迷人

すぐにはやめないでしょうね。

◆名人

やめないどころか、すぐにタバコに火を付けるだろう。そして言うんだ。「ふぅ~、これで落ち着いた」って。もし、やめたとしても大半の人は長続きしない。

つまり、いくら正しくても外発的動機だけでは、弱い。

例えば、「タバコをやめたら、かわいい娘さんが喜びますよ」とか「もう夜中にタバコが切れたときの苦しみを味わわなくてすみますよ」とか、「もう駅の階段で息切れしないですみますよ」とか。

つまり、健康的で自由になれることを伝えたらいい。

そうやって、本人の内発的動機を刺激するんだ。

そうすれば、禁煙が成功する可能性はグンと高まるだろう。

その点、『禁煙セラピー』という本は、的を射ていたな。

◇迷人

二つの動機……全く知りませんでした。

◆名人

どちらも“動機”だ。

だから、どちらも人を動かすエンジンになり得る。

でも、外発的動機だけでは長続きしない。

疲れてしまうんだよ。

◇迷人

それは、わかる気がします。私も毎月、毎月、営業目標をクリアし続けなくてはいけないことに、疲れてきました……。

◆名人

営業マンとしての君の動機は?

◇迷人

やっぱり評価でしょうね。

達成しなくて「できないヤツ」と思われるのは、イヤです。

上司から叱責されるのも、すごくイヤですね。

あっ……、これって外発的動機ですね。

◆名人

もし、達成しなくても怒られないし、評価も下がらない、給料も同じだとしたら、ちゃんと働くか?

◇迷人

……多分サボるでしょうね。

やってもやらなくても“ギャラおんなじ”で、評価も下がらないんだったら。

◆名人

だよな。

だから、キッカケとしては、外発的動機も必要になるわけだ。

でも、今やっている仕事に“やりがい”を感じたかったら、自分で内発的な動機を考えることだな。

そうすれば、長く続けられる。

長く続けられれば、また違う世界が見えてくる。

◇迷人

見てみたいですね、違う世界……。

◆名人

何はともあれ、よくやったなぁ。

あっぱれ、あっぱれ。素晴らしい。

私も嬉しいよ。

◇迷人

名人のおかげです!本当にありがとうございました。

◆名人

今日は気分がいい。話を続けよう。

タコワサ、頼んでいいか?

◇迷人

……どうぞ。

(後記)

個々の営業マンには売上目標がないのに、会社としての売上目標を達成し続けている会社が、新聞で紹介されていました。

社員の「お客様の役に立ちたい」という内発的動機をうまく引き出しているのだと思います。

(今日の名言)

私はいま、生活に必要なお金を、自分の手で社会に働きかけて得ることができるし、何か役立って感謝をされることで、社会から愛のようなものを得ることができる。これは自由なことだ。 

~山田ズーニー~

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