学びたいことを教える。
~人を育てるのは自分のためでもある~
■ニーズの高まり
OJTに関する研修は最近、特にニーズが多く、私も様々な企業で実施しています。新入社員のOJT担当者になったトレーナーやそのトレーナーを束ねるOJTリーダー向けの研修です。
少子高齢化による慢性的な人材不足や活発な転職市場という社会背景もあり、優秀な人材を潤沢にプールできている会社は少ないのが現状です。
そんな中、「新入社員のモチベーションを維持しながら、効果的・効率的に育成すること」は、どの会社にとっても喫緊の課題となっているのです。
■担当者はマインドがセットできていない。
研修では、WHAT(何を教えるのか)やHOW(どう教えるのか)の話ももちろんしますが、最初に必ず理解していただくのがWHY(なぜ教えるのか)についてです。
というのも、OJT担当者は、急に人事や上司から「今度、新入社員が入ってくるから頼むぞ」とだけ言われ、放置状態という会社が多いからです。
なので、担当者は心構えができていません。
「自分の仕事だけ手一杯なのに、なんで私がやらなくてはいけないんだ」とか「自分だってちゃんと教わったことがないのに、人に教えられるはずがない」等といったネガティブな感情を払拭できていません。
わかりやすく言うと「めんどくさい」と思っている方が多いのです。
そんな感情のまま、新入社員と接してもうまくいくはずがありません。
何よりも新入社員に対して、大変失礼です。
期待に胸を膨らませて入社してきた若者が、“やる気のない先輩”によってつぶされてしまうのは、本当に悲しいことです。
研修では、教えること・人を育てることが、自分にとってどんな“メリット”があるかを考えることからスタートします。
■メリットはたくさんある。
“会社視点”で考えると、
・会社の未来のために知識や技術を伝承できる
・会社の長期的な利益に貢献する ということが挙げられます。
自分がいる会社が繁栄することにより、将来に渡っての給料が担保されるわけですから、自分にとってもメリットになります。
“自分視点”で考えると、
・キャリアアップのためのマネジメントスキルが身につく
・自分の業務がラクになる
・自分の評価が上がる
・新しい視点で考えられるようになる
・育てながら、同時に自己成長を感じる
等のメリットが考えられます。
冷静に考えれば、メリットはたくさんあるのです。
■自分の知識・スキルが“確かなもの”になる。
中でも、大きなメリットは、教えることによって、自分が大きく成長できることです。
アメリカ国立訓練研究所という機関が“ラーニングピラミッド”というレポートを出しています。
【ラーニングピラミッド:学習定着率】 アメリカ国立訓練研究所
そのレポートでは、一番効果的な学び方は「人に教えること」であると結論づけています。
つまり、自分が学んだことや身につけたことを人に教えることにより、その知識やスキルがシッカリと固定化されるということです。
自分が理解していないと人には教えられません。また、教える機会が増えれば増えるほど、わかりやすく伝えるために自分でさらに学ぶようになります。
その繰り返しにより、自分自身が大きく成長するのです。
■自分が学びたいことを教えよ!
誰かが言っていたか何かの本に書いてあった言葉です。
もし自分が興味がある分野があり、その道を極めたいと思うのなら、その分野に関することを人に教えるといい、ということです。
社内でナンバーワンを目指したい知識やスキルがあれば、そのことを後輩に教えることで、エキスパートになれるのです。
OJT担当者は、そんなメリットが享受できるのです。
イヤイヤやっていたのではモッタイナイですよね。
今日は、WHY(なぜ教えるか)についてお話しましたが、機会があればWHAT(何を教えるのか)やHOW(どう教えるのか)についてもお話したいと思います。
(後記)
本来、上司は担当者を任命するときに、人を育てるということの意義をシッカリと伝えなくてはなりません。「新入社員にとっても会社にとっても、そして本人にとっても、本当に価値がある大事な仕事である」ことを伝えなくてはならないのです。
(今日の名言)
人は教えることによって、もっともよく学ぶ。
~ルキウス・アンナエウス・セネカ~