ワークとライフ
~必要なのは“バランス”なのか?~
■ワーク・ライフ・バランス
ワーク・ライフ・バランスという言葉は、すっかり社会に浸透しているようです。
この言葉は本来、“仕事と生活の調和”という意味で政府が推奨しているものです。
■ちなみに“ワーク・ライフ・バランス憲章”には「我が国の社会は、人々の働き方に関する意識や環境が社会経済構造の変化に必ずしも適応しきれず、仕事と生活が両立しにくい現実に直面している。
誰もがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たす一方で、子育て・介護の時間や、家庭、地域、自己啓発等にかかる個人の時間を持てる健康で豊かな生活ができるよう、今こそ、社会全体で仕事と生活の双方の調和の実現を希求していかなければならない」とあります。
【出典】『仕事と生活の調和推進サイト』http://wwwa.cao.go.jp/wlb/index.html
■この言葉がその本来の意味・意図で浸透するのであれば、素晴らしいことです。
ただ、企業研修の場で多くの人に聞くと、どうも違う意味で捉えている方が多いようです。
■バランスが取れていない働き方はイケてない……
⇒なのに、ウチの会社は残業が多く、プライベートを充実させる時間がない。
⇒だから、ウチの会社はダメなんだ。
⇒もっと、自由な時間が創れる会社を探そう!とこんな感じです。
特に20代前半の若い社員の方には多いようです。(そう考えている方に「自由な時間があったら何をしたい?」と聞くと、テレビを見たい、ゆっくりしたい等とあまり具体的なアイデアが出てくることは少ないのですが……)
■つまり、「単純に仕事に費やす時間が短くなれば、生活(プライベート)が充実する」と考えている方が多いということです。
これは、仕事=生活のために仕方なくやること、プライベート=良いこと、という図式がそう思わせるのでしょう。
これは“バランス”という言葉が独り歩きした弊害だと思います。
憲章にも「誰もがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たす一方で、」とありますが、その部分は軽視されているようです。
■そんなに単純じゃない。
例えば、17時に仕事が終わったとします。皆さんは、テレビのチャンネルを切り替えるように、「さぁ、プライベートだ!」と頭を切り替えることができるでしょうか。
(私はできないので、できる人が羨ましい……)
我々はロボットではないので、仕事がうまくいっていなかったり、ストレスを抱え込んでいたりしたら、プライベートの時間にもそのことが頭から離れないでしょう。
でも、そんなに単純じゃない。
■バランスという言葉には“調和”という意味がありますが、“はかり”とか“天秤”というイメージも強い。
だから、“二者択一”のような印象を多くの人が受けてしまっているようです。
長時間働くと、プライベートが疎かになってしまうと考え、業務時間が短い会社が良い会社だと、単純に考えてしまうわけです。私も意味のない長時間労働は悪だと思いますし、我々を疲弊させるだけだと思います。
でも、やっぱり、そんなに単純じゃない。
■ワーク・ライフ・ハーモニー
調和という言葉を強調したいのであれば、“ワーク・ライフ・ハーモニー”という言葉のほうがシックリきますし、美しい。
最近“ワーク・ライフ・インテグレーション(統合)”という言葉もよく耳にするようになりました。
「仕事と生活を切り離しては考えるのではなく、どちらも人生の大事な一部として充実させていこう」ということです。この言葉もシックリきます。
ライフを“生活=プライベート”と捉えるのではなく、“人生”と捉えると考え方が変わってきます。
■ライフ(人生)の中にワークがある。
そう考えることが、自然だし、無理がないと思います。
「こんなに働いていたらバランス悪いよなぁ……」とか「もっとプライベートを充実させなきゃ……」といった不必要な悩みを抱かずに済みます。
“ワーク・ライフ・バランスの呪縛”から逃れ、一段高い視点で「どうしたら人生を充実させられるのだろう?」「人生の他の要素と仕事の関係性を考えてみよう」といったポジティブな発想ができるようになるでしょう。