“強み”を活かす。
~今さら自分を変えようとしてはならない~
■自分の“強み“を活かして、周囲に喜んでもらえるような仕事ができたら……
素晴らしいことだと思いませんか。
やりがいや充実感を最大限に感じることができるでしょう。
そして、自身が切り拓いていくキャリアの方向性も見えてくるでしょう。
ところが、
■「あなたの強みは何ですか?」
研修で受講者にそう問いかけると、ほとんどの人が言葉に詰まってしまいます。
無理もありません。なぜなら、今まで“強み”を考えるという習慣がないから。
学校においても会社においても“弱み”を改善することが重要と教わり、自らも生真面目に取り組んできたのだから。
■就職活動以来……
自分の強みを考えることって、もしかしたら就活の時期以来、してないかもしれませんね。
その時考えたのも周囲の大人にせっつかれて“無理矢理”捻り出した、歯の浮くようなアヤシイ“強みもどき”だったかもしれません。
まだ仕事をしていない状況ではなかなかリアルには考えられないものです。
■「リーダシップを発揮した体験」をお話ください。
私は、研修の中でよくこんなワークをします。
※ちなみに私は“リーダーシップ=影響力”と定義しています。つまり、周囲に何らかの(プラスの)影響力を発揮した経験を話してもらうのです。
「強みは何ですか?」というダイレクトな質問には答えにくくても、この質問は、答えやすいようです。
誰かの発言に触発され、一人また一人と“リーダーシップ発揮体験”を語り出します。そして、お互い拍手をし合ったり、「スゴイね~」と感嘆の声をあげながら、楽しい座談会が続きます。
例えば、
・新しい職場は整理整頓が苦手な人ばかりだったので、ファイル整理をした。
・新人の面倒を見る人がいなかったので、「大丈夫?」と毎日声かけをすることにしている。
・お客様への営業ツールのフォーマットを作って、共有した。
・電話対応マニュアルがなかったので、自分のためと来年の新入社員のために作成した、等々。
ふだんの何気ない業務の中でも、実に多くのリーダーシップ=影響力を発揮していることに気づきます。
■意識しなくても“強み”は発揮している。
このワークからわかることは、誰しも意識してか無意識かは別として、すでに多くの場面で“強み”を発揮しているということです。
周囲に何らかのプラスの影響力を与えることができるというのは、まさに自身の強みが活かされているからです。
ただ、それに気づいていないだけ。考える機会がなかっただけなのです。
■言語化してみる。
今までは、意識してこなかった、機会がなかった方が多いと思いますが、自身の強みを言語化する機会をぜひ創ってもらえたらと思います。
そして、これからはその言語化した、顕在化した強みを「どうやったら活かせるか」と意識的に考えてみるのです。
■「帆を上げろ!」 ~“強み”と“弱み”の関係~
“弱み”はほっといてもいいのか?そんな疑問を持つ人もいるでしょう。
強みと弱みの関係について、『ポジティブ・コーチングの教科書(ロバート・ビスワス=ディナー/草思社)』という本の中に示唆に富む例えがありました。
曰く、“弱み”というのはヨットの底に開いた穴である、と。沈没してしまうので、穴を塞ぐ必要があるわけです。
ただ、いくら穴を塞いでもヨットは前に進まず、プカプカと浮かんでいるだけです。
前に進むには、ヨットの帆を上げなければならない、そして、この帆にあたるのが“強み”だという例えです。
■ヨットが沈没してしまうほどの“弱み”か?
みなさんに考えてほしいのは、みなさんが感じる“弱み”はヨットが沈没してしまうほどの大きな穴なのか?ということです。
多少の“弱み”はあって当たり前(だって、人間だもの)、それが、ちょっとした穴やヨットの底にあるキズぐらいだったら、ほっときましょう。
それより、大事なのは、前に進むために「帆を上げる」ことだと思いませんか。
■ドラッカーも強みの重要性を唱え、多くの言葉を残しています。
「今さら自分を変えようとしてはならない。うまくいくわけがない。自分の得意とする仕事のやり方を向上させることに、力を入れるべきである」
「不得手なことの改善にあまり時間を使ってはならない。自らの強みに集中すべきである。無能を並みの水準にするには、一流を超一流にするよりも、はるかに多くのエネルギーと努力を必要とする」
「何事かを成し遂げられるのは、強みによってである。弱みによって何かを行うことなどはできない」
■時間を見つけて、“強みの言語化”に取り組んでみてください。みなさんの新しいキャリアを考える上での非常に価値あるプロセスになるでしょう。